外反母趾
外反母趾は足の親指が変形してしまって症状を引き起こします。足の変形による疾患なので、整形外科でとても多く扱うことになる疾患の一つです。整形外科で働けば必ず目にする疾患ですので、興味を持っている人は押さえておきましょう。
外反母趾の症状
外反母趾は足の親指の先が人差し指の方向に「くの字」に曲がり、付け根の関節内側が突き出した部分が痛むという症状が特徴です。突き出した部分は靴に当たるなどで、歩いているだけで炎症を引き起こすようになり、ひどくなってくると靴を履いていなくても痛むまで症状が進行してしまいます。靴の歴史が長い欧米人に多くみられた疾患でしたが、現在は日本人でも急速に増えており、珍しい疾患ではなくなっています。
外反母趾の原因
外反母趾の原因は靴を履くことと考えられていますが、正式な結論はいまだ出ていません。また、足の裏や指の機能低下が一番の原因なのではないかとも言われています。偏平足などの足の形の変化も、これらの機能低下によって多くみられるからです。これらを総合して考えると、足の筋肉をしっかり使う歩き方ができていないと、機能が低下し外反母趾になりやすいのではないか、という仮説が浮かび上がります。
例えば、一歩一歩の歩幅が狭かったり、足を上げずに地面をするように歩いていたりする原因は、足の筋肉をしっかり使えていないためであることが多いです。結果として足の指の筋肉が日常的に使われなくなり、弱ってしまうことが外反母趾を引き起こすと考えられます。また、高いヒールや鼻緒がないサンダル、足のサイズよりも大きめの靴を履いている人も、上記の歩き方になりやすいので靴の種類が原因となっている場合もあります。
機能低下だけではなく、生まれつきの骨格が原因とも考えられています。親指の先が人差し指に曲がりやすいような、人差し指よりも親指が長いタイプの足の形は外反母趾になりやすいと言われています。ただし、後天的に病気や怪我でが原因で親指が変形したものは外反母趾と区別して治療しなければなりません。
治療方法
早期の段階では体操やトレーニング、装具などで治療を進めていきます。しかし、症状が進んで変形が大きくなってくると、筋肉もそれを助長するように働いてしまいます。そのため体操や装具などを利用する治療では、もとに戻りにくくなります。この段階になると痛みが強く、歩行をすることも辛くなってしまうので手術の選択があります。手術には様々な方法がありますが、一般的な術式は中足骨を骨切りして矯正するもので、進行の程度によって選択されます。手術後は翌日から歩行が可能になりますが、今まで通り靴を履けるようになるためには、おおよそ2ヶ月ほどの治療期間が必要です。